当科の松田正樹先生主著の論文「A bone tumor-like chest wall mass lesion with pathological rib fractures observed 13 years after lung stereotactic body radiotherapy: A case report.」が【Thoracic Cancer】誌に掲載されました。論文を読む>>
〈松田先生より~〉
本症例は,骨転移キャンサーボードでの検討をきっかけに,整形外科・病理診断科と連携してcase reportにまとめました.丁寧にご指導くださった共著者の皆様,並びに論文作成〜投稿にあたりご助言頂いた森坂先生・渡邊先生・戸塚先生に,この場を借りて感謝申し上げます.
【論文概要】
末梢型肺癌の体幹部定位放射線治療(SBRT)後に,二次性胸壁腫瘍が疑われた一例です.
肺SBRT後の胸壁有害事象として,肋骨骨折や胸壁痛が知られていますが,治療後10年以上の長期経過に関するデータはほとんどありません.本症例では,治療後13年にわたる画像経過において,照射野内に発生した胸壁腫瘤の増大傾向を認めました.放射線誘発肉腫の除外目的に実施された切開生検で悪性所見を認めず,放射線性骨壊死と診断.慢性的な炎症と修復を繰り返す過程で,線維芽細胞や他の修復細胞が増殖し,腫瘤増大に至ったと考察しました.
肺SBRT後の超長期的な有害事象は明らかになっておらず,放射線治療後の経過を注意深く観察することが重要であると考えます.
*診断科の先生方へ.特にSBRT導入初期の症例は,胸壁や肋骨に対する線量制約を設けていなかった(あるいは技術的に線量低減が困難だった)ため,注意が必要です.読影時,同様の症例に遭遇された際は,ぜひご一報頂けますと幸いです.