1月17日に山梨放射線治療研究会が開催されました。県立中央病院末木佑委看護師から、頭頸部放射線治療のケアマップを用いた患者支援についての貴重なご発表がありました。患者に寄りそっているからこそ気づかれるニーズであり、頭頸部放射線治療にとって非常に重要な取り組みであると感じました。当科の武藤瑞希医師からは複数回のオリゴ転移に対して繰り返し根治的局所照射を施行した非小細胞肺癌症例について発表がありました。よりわかりやすい発表を心がけて、決められた短期間で準備していた姿を近くで見ていたので、しっかりと質問に答える姿に大きな成長を感じ、今後への期待がさらに膨らむのを感じました。当院耳鼻咽喉科からは高齢進行中咽頭癌に対して導入PCEとサイバーナイフで良好なコントロールを得ている症例報告を松岡伴和先生より頂きました。一律に標準治療を押し付けることなく臨機応変に治療選択肢を考えることの必要性を感じ、診療科を超えて議論する機会に恵まれているありがたさを再認識しました。
特別講演は、大阪医科薬科大学 関西BNCT共同医療センターの粟飯原輝人先生より、「頭頸部癌に対するホウ素中性子捕捉療法:現状と今後の展望」についてご講義を賜りました。
紹介症例への向き合い方(患者の診察に2時間以上かける症例もあるとのこと)、狭き門である適応症例に対しては、再発症例かつ難治である筈なのに素晴らしい奏功割合を示すこと等について、実際の症例をもとに大変貴重な講義を頂きました。BNCTの技術そのものも勿論ですが、粟飯原先生の熱意、患者の人生そのものを考える至誠を尽くしていらっしゃるご様子が非常に印象的でした。
その後の懇親会の場では、粟飯原先生の家庭人としての側面についてもお話を伺うことができました。BNCTという放射線治療最前線に立ち、もともとの耳鼻科医としてのお立場もあり、粟飯原先生ならではのお話がたくさんありました。当院耳鼻科の櫻井大樹教授、松岡伴和先生もご同席されました。ベテランの医師に対しても若手に対しても、非常に気さくに接してくださり、「いつでも相談してね」という社交辞令ではないそのお言葉に惚れ惚れしました。それぞれが持ち場の技術を磨き、自分の立場を誇りながら、しかもそれぞれを尊重しあって患者のために協力するというチーム感を感じ、放射線治療のすばらしさを再認識しました。粟飯原先生、ご遠方かつ線路脇の火災での新幹線遅延もある中で、山梨でのご講義を賜りありがとうございました!!
(文責 秋田)