今泉 瑛先生の論文2編(和文と英文)がジャーナルに掲載

2020年09月15日

今泉 瑛先生の論文が、日本インターベンショナルラジオロジー学会雑誌Japanese Journal of Radiology誌に掲載されました。

 

日本インターベンショナルラジオロジー学会雑誌へ掲載

論文タイトル:「副腎静脈サンプリング時に経動脈的造影にて右副腎静脈合流部を同定した2例」

2020年35巻1号p.62-65 J-STAGEを見る

【論文解説】

原発性アルドステロン症(PA)に対して副腎静脈サンプリング(AVS)を行う際、右副腎静脈に正しくカテーテルを挿入できるかどうかが手技の成功率に大きく関わります。
造影CTで副腎静脈の位置や向きが分かることが多いですが、右副腎静脈が見えづらい症例もあり、このような症例ではカテーテルの挿入も困難である場合が多いです。
今回報告した2例は通常の方法では右副腎静脈の同定が困難でした。動脈側からの造影を追加することで、静脈に流れ出てくる造影剤をDSAおよびangioCTで描出して右副腎静脈を可視化できました。
通常AVSは大腿静脈穿刺のみで行うので、動脈造影を行うためには大腿動脈穿刺という侵襲が加わります。しかしAVSはPAの治療方針に大きく影響する手技であり、どうしても右副腎静脈が見えない場合のトラブルシューティングの1つとして動脈造影が有用ではないかと思われました。

 

Japanese Journal of Radiology誌へ掲載

論文タイトル:「Transarterial fiducial marker implantation for CyberKnife radiotherapy to treat pancreatic cancer: an experience with 14 cases」 論文を見る

【論文解説】

呼吸性変動を伴う臓器の腫瘍に対して放射線治療を行う際、病変を追跡するために金属性マーカーを置く場合があります。マーカーの留置は経皮的穿刺が一般的ですが、病変が深いところにあったり、周囲に大血管やほかの臓器がある場合には難しい場合があり、膵臓も経皮的なマーカー留置の難易度が比較的高い臓器といえます。今回は膵癌の放射線治療を行うために、血管内治療用カテーテルの先端から血管塞栓用のコイルを留置しマーカーとして使用することを試みました。マーカー留置手技自体による合併症は見られず、おおむね良好に放射線治療を完遂できました。数例で照射に関するいくつかの技術的な問題を認めましたが、いずれも留置手技や照射方法の工夫で改善が可能と考えられました。

今泉 瑛