令和5年5月26日(金),ベルクラシック甲府にて第32回日本定位放射線治療学会が開催されました.
当科主幹で,大西大会長の掲げたテーマは「定位放射線治療の真実無妄ー予後の真実を語ろうー」でした.
頭部から臨床応用が開始された定位放射線治療はすでに半世紀の歴史を刻んでおり,現在まで様々な領域で治療実績を重ねています.
しかし,その長期予後は明らかになっておらず,臨床現場では今なお「定位放射線治療を受けた患者さんがその後どうなるのか?」という素朴な疑問と向き合っています.
放射線治療において,「線量」を増やせば治療効果は高まりますが,思わぬ副作用で患者さんを悩ませてしまうかもしれません.
一方で,「線量」を減らせば安全な治療を提供できますが,効果不十分に終わってしまうかもしれません.
今回の定位放射線治療学会では,そんな治療効果と有害事象のバランスを主軸に熱い議論が交わされました.
プログラムに関して最も特徴的だった点は,ディベート形式のセッションが数多く用意されていたことです.
◆膵癌に対する定位放射線治療ー(LOSE) CyberKnife vs MR Linac (WIN)ー
◆前立腺癌に対する定位放射線治療ー(WIN) SpaceOARあり vs SpaceOARなし (LOSE)ー
◆体幹部定位放射線治療のTumor trackingー(LOSE) 外部信号 vs 内部信号 (WIN)ー
◆長短期の経過を考えて優先するのはどっちだー(LOSE) 治療効果優先 vs 有害事象優先 (WIN)ー
当科の萬利乃先生も”SpaceOARあり派”の急先鋒として,接戦のディベートを制しました.
SpaceOAR処置を放射線科で実施する施設は2割程度とのことで(残りの8割は泌尿器科で実施),
会場に集まった放射線科の先生方が,萬利乃先生の生の声に聴き入っていたのが印象的でした!
医師(放射線科,脳神経外科)・コメディカル(技師,物理士,看護師)がface to faceで一堂に会し,とても活気ある大会となりました.
ご参加いただきました皆様,本当にありがとうございました!
松田正樹