国際磁気共鳴医学会(ISMRM)2016へ参加しました.
山梨大学からは,市川新太郎先生が口頭発表,高村先生がポスター発表を行いました.私は教育セッションの演者と,座長を務めました.
ISMRMはMRI 関連の学会で,基礎系(エンジニアやサイエンティスト)から臨床系(ドクターや技師)までが参加する学術集会としては特異な存在です.
毎年,世界のMR研究サイトで開発・発見された新しい知見が山のように発表され,知識のアップデートと今後の研究開発の方向性を知る上でも重要な機会となっています.
教育講演が充実しているのも特徴の一つで,MR初心者の基礎系研究者や臨床研修中の放射線科医などがそれぞれ自分に必要な知識を効率よく得られるように工夫されています.
今年は久しぶりのアジア開催(シンガポール)です.レセプションでは龍の舞が太鼓の響きとともに会場を沸かせました.
学問的な面で興味深かったのは,定量的磁化率マッピング(Quantitative Susceptibility Mapping, QSM)です.MRの基本特性であるT1, T2, Diffusion, に加えて新たな定量可能な指標として注目を集めています.
昨年までは初期検討段階で,「やっと画像を再構成できた」といった趣の発表が多かったのですが,今年はどの施設もかなりハイクオリティーの画質を提示していました.臨床現場でどんどん使われる日は迫ってきていると感じました.
私事ですが,今年からこの学会のプログラム委員(annual meeting program commitee, AMPC)を拝命しました.応募演題の取捨選択や,教育プログラムの構成など来年以降の学会運営に深く携わることになります.日本のプレゼンスを示すためにも頑張りたいと思います.
本杉宇太郎

来年のプログラム委員長 Scott Reeder 先生と. この学会で発表になったGEヘルスケアの最新MR装置の前で.

オープニングパーティで行われた龍の舞

シンガポール,町の夜景
【教育セッション】
本杉宇太郎先生:「MRI Charaterization of Lesions in the Cirrhotic Liver」
【口頭発表】
市川新太郎先生:「Improved detection of capsular enhancement in hepatocellular carcinoma using multiphasic hepatic arterial imaging and DIfferential Sub-sampling with Cartesian Ordering (DISCO) in gadoxetic acid-enhanced magnetic resonance imaging」
【ポスター発表】
高村朋宏先生:「Extensive White Matter Damage in Neuromyelitis Optica Assessed by Neurite Orientation Dispersion and Density Imaging: A Tact-Based Spatial Statistics study