集中講義 第30回「IVRの安全管理」報告

2016年06月27日

6月22日(水)第30回

「IVRの安全管理」   講師:坂本技師長

 

【秋田知子の集中講義日記】

 放射線被曝と防護について講義をいただきました。

 1895年のレントゲンによるX線の発見から、百二十余年。その間、放射線利用はどんどん進んできましたが、利便性の裏にある障害を看過できない事態もありました。20世紀前半までの放射線利用による犠牲者を祀った慰霊碑には、想像よりも多くの名前が刻まれており、当時の医療関係者が大半でした。また、患者さんに与える影響として、IVRによる皮膚障害、CT撮影による頭部の局所的な脱毛の写真も供覧。いずれも遠からぬ過去です。諸刃の剣である放射線を理解しきらないことや、危険を知りつつ行動に移さないことによる怖さを感じました。先人達の知識と経験を無駄にしないよう、さらに啓蒙が必要だと思いました。

 また、国立大学病院間でもPCIやIVRの手技に伴う被曝量がこんなに大きく異なるなんて。各医師の意識により防護板がこんなに役立って被曝量が減らせるなんて。検査の正当化と最適化というプロセスが、いかに重要かを痛感させてくれました。

 日本人気質か正義を気取ってか、「自らを犠牲にして(被曝してでも)患者のために動かなければ」と思いがちですが、そんな事態は殆どない(なくすべき)だし、自分は自分で自分の身を最善の方法で守らなければいけないのです。私が無駄な被曝をしたところで誰も得をしないし、やむを得ない場合を除いて、不要な被曝は絶対に絶対に避けなくてはならないのです。

 これまでまあまあ甘い認識でも毎日お腰につけたクイックセルバッジが宇宙線くらいという安全体制に感謝しつつ、今後も防護の重要性を銘記し健やかに働いていこうと思います。