集中講義 第34回「放射線生物②」報告

2016年07月05日

7月1日(金)第34回

「放射線治療4 放射線生物②」  講師:青木先生

 

【秋田知子の集中講義日記】

 4Rを中心にご講義いただきました。「4R?reduce reuse recycleに何が加わった?」と考えていた研修医時代の自分を懐かしく振り返りつつ、今日の講義を聞いてより実感がわいてきました。

 放射線治療は、腫瘍細胞と正常細胞の感受性の差を利用した治療法であり(薬物療法も然りの部分もありますが)、Therapeutic ratio(TR)>1でないと治療として成り立ちません。その戦略としての重要な4Rのうち、「Repair of sublethal damage」、「Reoxygenation」、「Redistribution」によって分割照射の意義を解説いただきました。また「Repopulation」により、分割照射による再増殖のデメリットを踏まえて腫瘍制御のための短期間での完遂の意義について丁寧に解説いただきました。科学的な学問であるとつくづく思います。

 時代劇などでもチャンチャンバラバラやって「ワルイもん」が駆除されたと思ってもイイモンが全員相討ちだったら本当に意味がないのです(ただ、現実ではお上や当局は現場にいないのでしょうが)。あ、非科学的な喩えになってしまいました。しかし、4Rのようなストラテジーがあれば理論的に負けることはないでしょう。彼を知り己を知り知れば百戦危うからず。

 さてある日、4Rのような巧妙なストラテジーで宇宙人が地球に攻めて来たら…

 「チキュウジンはαβ比が○△◇デアリ増殖周期は○△◇デアルカラシテ、駆除スルタメ期間ヲ○△◇ト設定シ酸素分圧ヲ…」なんて練っていたら一溜りもないぞ!と、安っぽいSF展開を妄想してみたりするものです。つくづく、私の頭の中は非科学的でありました。