7月11日(月)第38回
「放射線治療8 緩和的放射線治療」 講師:小宮山先生
【秋田知子の集中講義日記】
緩和的放射線治療について講義をいただきました。未だに「緩和ケア、緩和医療を導入するのは末期だから」「緩和医療とがん治療は一緒に受けられない」との誤解があるとのこと、私も医療関係者でなければそう思い込んでいたかもしれません。自分にとって身近な放射線治療を通して、その概念がどんどん世の中に広まっていけばいいなと思っています。
さて今回、内容は緩和的放射線治療と、骨転移に対する放射線治療の2本立てでした。
前半の放射線治療による緩和的放射線治療では、治療によりQOLが向上するという具体例を挙げていただき、がんに対する直接効果ということで局所制御が最強かつ最良の症状緩和の手段となりうることがわかりました。気管狭窄や尿路直腸狭窄、上大静脈症候群、リンパ節転移皮膚浸潤に対しての経過を見る中で、それがしみじみと分かりました。
そして骨転移に対する放射線治療に関するお話では、骨転移ががん患者の7割以上に起こるという衝撃的な事実。レントゲン、CT、MRI,骨シンチでの画像診断でのpointを知り、見逃すことなくいち早く見つけられるよう訓練したいと思いました。QOLに直接つながる部分であり、照射により8-9割で疼痛緩和でき、疼痛消失が4-5割にみられるとのことですから、超重要事項です。また、1回照射と複数照射で効果に差がない(が印象としては国内では1回照射での印象がよくないとのことですが)というのも、他科の先生にも是非知って頂きたい事項だと思いました。1回で済むのであればハードルもだいぶ下がるかもしれません。その他、病的骨折予防や緊急照射の適応などについても学びました。
また、病巣位置について。肩が痛いときの頸椎、腰が痛いときの下部胸椎、脚がいたいときの腰椎がそれぞれがん転移であったという症例から、どこが痛みの原因となっているのか見極めが大事であるとのこと。疑わないと検査できない、検査しても知識がないと診断できないことから、知らないことは罪、との某医療漫画の言葉が浮かびました。また、効くまでには2週以上かかり、最大効果は4週以降ででてくるとのことであり、「すぐよくなりますから」と安易に伝えることも徒に患者を落ち込ませてしまうことにつながると思われ、やはり罪なことでしょう。自分を罪な女、と思ったことも思われたことも一度もありませんが(色めきだった意味では残念ながら金輪際もないことでしょう)、知らないことによる罪を犯すことのないよう心していきたいと思います。