秋田知子先生からのお手紙 『医局のみなさまへ』

2016年10月11日

医局各位

 寒くなってまいりました、いかがお過ごしでしょうか。
 先日は産休に入るにあたり、お世話になった先生方、秘書さんにろくに感謝をお伝えすることなく、挨拶もせず出てきてしまい、心苦しくなりメールにて失礼いたします。
  私は今、里帰り先の新潟にて、のんべんだらりとした生活をしながら、入院時必要なものリストとにらめっこしながら自覚が芽生えているようなところ(まだまだ甘い!といわれる)です。じき臨月を迎えますが、今のところトラブルもなく、私は1日6食の健康食を食べてごろごろし、のみお(ベビーネームとでも言いましょうか、おしっこをのみながら成長していることからそう呼んでいます)も元気にキックやチョップをしてきております。GDM以外は順調でこられたのは、ひたすらに皆様方の心遣いのお陰と感謝しています。

 このだらりん生活の中で、TVであるドキュメンタリー番組を観ました。東京での働く母の子育てに関するものでした。子供を産むなら仕事をやめろ、と妊娠出産を機に上司に退職を迫られる、いわゆるマタハラの場面。子供を保育園にいれるために引っ越しを余儀なくされたり、認可保育園に入れるために離婚する夫婦もあったり。アリバイ会社を用いて身分を偽るシングルマザーもいるそうです。若く産んだら「若すぎる」、遅く産んだら「遅すぎる」、一人産んだら「一人だけ?」、産まなかったら「かわいそう」。
 過酷な状況に向き合う女性らに比べて私は信じられないくらい恵まれているなあ、幸せだなあ。と、いろんな思いが寄せてきて泣けてきました。あれあれ、ホルモンバランスでしょうか。
 ここまでではなくても、季節柄や年功序列をとやかくいわれることもあると聞くこの社会の中で、私のように、順番や時期を選ばず何の苦労もなくここまで来ることができる環境は、めったにないのかもしれません。改めて感謝感謝です。
 それと、産休前の気遣いのうれしかったこと。ご自身の体験談を話してくださり優しい一言をかけてくださったり、また、人事の面でも都合をつけてくださったり、また当直のことなども希望をすんなりとを通していただきました。仕事中でも妊婦検診にも行きやすい環境でした。妊娠糖尿病で入院となった際も安心して居れました。また、ただでさえトロイのに妊娠を機にさらに拍車がかかっている私を邪険にすることなく接してくださることも何よりでした。
また、産前産後の働き方の取り決めに際し、丁寧に話し合いの場を設けてくださったこと。負荷を見ながらdutyを調節してくださったこと。一律軽減するのでなく、希望に合わせてバックアップ体制をとって普段通り働けるように配慮してくださったことがとてもとても心強かったです。
 この恵まれた状況が後続にも伝わり、多様性を武器にさらに発展していったらなあと思います。その際には、あわよくば経験者として後続をサポートすることができたらいいなと思います。

 それはそうと、私はやっぱり家事には向かないなあと痛感する日々です。父に繰り返しスマホの使い方を教えたり、母に家事の小言をもらったりと、まあ詳しくはお話しできませんが、想像の通りと思います。ああー!早く仕事に復帰したいなあ!とのんびり考えております。先日のラジオロジーフォーラムの際、聞きにいらしていた佐野美香先生にお会いして産休前や復職について少しお話する機会を頂きましたが、すごいなあ、パワフルな働き方!と思いました。今は産後のことは全く想像がつきませんし、体力気力ともヘタレな私ですから何も約束できませんが、復職についてもまた近いうちに相談をさせてください。ブランクからの復帰(一丁前に!笑)に備えて、今のうちに成書を通読できたらと思っております。あ、今どのあたりまで読んだかは聞かないでください。

 季節の変わり目、寒くなってまいりました、皆様もどうかご自愛くださいますよう。感謝の気持ちを伝えたくメール申し上げましたが、とりとめのない文章になってきてしまいましたので、このあたりで一旦失礼いたします。

のみおから昇竜拳と竜巻旋風脚を受けながら、はるか新潟より 秋田

追伸)
医局の引っ越し、進んでいるころでしょうか!
私が職場に戻るころには若手部屋がリフォームされてきれいになっているのでしょうか。ワクワクします。荷物のことなどまた連絡させてください。
それでは。