佐藤葉子先生の論文が、Journal of Computer Assisted Tomography 誌に掲載

2017年02月07日

佐藤葉子先生の論文「Prognostic Value of Semiautomatic CT Volumetry in Patients With Stage I Non-Small Cell Lung Cancer Treated With Stereotactic Body Radiation Therapy」が、Journal of Computer Assisted Tomography に掲載されました。 PubMedを見る

 

【論文要旨】

 近年、画像処理ワークステーションが格段に進歩し、さまざまな病変の3D計測が容易になりました。そこで今回、定位放射線治療を行った原発性肺癌患者が治療前に撮影したCTをもとに、肺癌原発巣の3D計測を行い、その測定値が予後(生存率、再発率)と関連するかを検討しました。また、CTが形態診断であるのに対し、機能診断であるFDG-PET(腫瘍のブドウ糖代謝をみる)が肺癌の予後予測に有用であるという論文も数多く発表されているので、腫瘍への薬剤の集積の指標の一つであるSUVmaxもあわせて評価しました。
 その結果、CTで3D計測した腫瘍の体積が大きいほど生存率が低く、また腫瘍の濃度(CT値)が高いほど再発率が高いことが分かりました。一方、FDG-PETにおける指標のSUVmaxは生存率、再発率とも関連があるとはいえませんでした。
 最近、FDG-PETを使った他の指標による予後予測が有用であることも報告されていますが、PETは機器の台数も少なく治療前の患者さんが全員受けられるとは限りません。CTは肺癌の治療前に必ず撮影されるので、これを使って簡単に予後の予測ができることは、日常診療に役立つと考えます。

佐藤葉子