下記に示す大西教授の論文がHighly Cited Paper として選出されました(2015年2月の調べ).これらの論文が世界の臨床医学研究をリードするものであると認められたと言えるうれしいニュースです.
山梨大学放射線医学教室は,数多くの国際学会での発表や国際誌への論文発表を通して,世界を舞台に臨床研究を行っています.
Highly Cited Papersってなに?
研究者は研究成果を論文として後世に残します.先代の残した研究成果をさらに進める形ですべての学問は進歩していきます.これは医学の基礎研究,臨床研究でも同じです.自分の行った研究成果がどのくらい大きなインパクトを与えたかを考えるとき,まず思い当たるのは掲載雑誌です.インパクトファクターの高くて評判の良い雑誌に掲載された研究成果はおそらく後世に残すインパクトも大きいでしょう.しかし,ひとつひとつの論文のインパクトを考えるには,その論文が何回引用されたかをカウントする方がより直接的で明確な指標になります.その際,標準的なデータベースとして用いられるのがThomson Reiter社が提供するWeb of Scienceです.
臨床医学の論文を例にとって引用回数を調べてみましょう.2010年から2014年の5年間に発表された論文は約1千万本あります.これらの論文が引用された回数は合計で6千万回を超えます.発表された論文1本あたり,平均して6回ほど他の論文から引用されている計算になります.しかし,実際はそうではありません.インパクトの高い論文は数多く引用され,そうでない論文は全く引用されないからです.実際にThomson Reiter 社が発表したデータによると,上記1千万本の論文中,Highly Cited Paper と定義される上位1%の論文が1千万回(全体のほぼ1/6)の引用を担っています.国民総所得を国内の就業者数で割っても平均的な家庭の収入とはほど遠い金額しか出てこないのと似てますね.一部の高額所得者が底上げしているからです.
行った研究のすべてが高いインパクトを与える訳ではありません.研究テーマや,デザイン,お金のかけ方,そして成果発表のタイミングもインパクトに左右します.しかし,このように数字として結果が表れるのは「我々の研究が認められている」ことを示すよいきっかけとなり,次の研究テーマに向かう意欲をかき立ててくれます.もちろん,地道に研究を続け,誠実に医学の進歩に貢献し続けることは医療人として最も重要なことであるのは言うまでもないことですが.
文責:本杉宇太郎
Stereotactic hypofractionated high-dose irradiation for stage I nonsmall cell lung carcinoma – Clinical outcomes in 245 subjects in a Japanese multinstitutional study
By: Onishi, H; Araki, T; Shirato, H; et al.
CANCER Volume: 101 Issue: 7 Pages: 1623-1631 Published: OCT 1 2004
Hypofractionated stereotactic radiotherapy (HypoFXSRT) for stage I non-small cell lung cancer: Updated results of 257 patients in a Japanese multi-institutional study
By: Onishi, Hiroshi; Shirato, Hiroki; Nagata, Yasushi; et al.
JOURNAL OF THORACIC ONCOLOGY Volume: 2 Issue: 7 Supplement: S Pages: S94-S100 Published: JUL 2007
Stereotactic body radiotherapy (SBRT) for operable stage I non-small-cell lung cancer: can SBRT be comparable to surgery?
By: Onishi, Hiroshi; Shirato, Hiroki; Nagata, Yasushi; et al.
INTERNATIONAL JOURNAL OF RADIATION ONCOLOGY BIOLOGY PHYSICS Volume: 81 Issue: 5 Pages: 1352-1358 Published: DEC 2011