小児CT検査の被ばく低減

CTで高画質な画像を得るには高い放射線量(被ばく)が必要。その常識はもはや通用しません。
当院では、小児の胸部CT血管造影(CT angiography, CTA)を従来の半分の放射線量で撮像する研究が行われています。
CTAは造影剤を急速注入し、血管(動脈)を高濃度に描出する方法です。血管をきれいに写すには2つの条件を満たす必要があります:1)血管内を高濃度の造影剤で満たす(造影剤の濃度とCT上の血管のコントラストは比例する)、2)ノイズの少ない画像を撮る(=被ばくが増える)。
近年開発されたCT用の逐次近似画像再構成法がこの2つの条件を大幅に緩和しました。昔から低電圧でCTを撮影すると、血管内の造影剤濃度が低くても高いコントラストを得られることが知られていました。しかし低電圧撮影ではノイズが多く従来は用いられることはありませんでした。しかし、逐次近似再構成の登場により低電圧撮影の利点を生かしつつ、従来と同等の画質(低ノイズ画像)を得ることが可能となりました。結果として、私たちは従来法に比べて「放射線被ばくを半減」、「造影剤使用量を4割削減」して同等の画質を得ることに成功しました。
私たちは患者さんにやさしいCT検査を目指し、さらなる検討を続けています。
この研究は、小児科、放射線科、放射線部との共同研究で行われています(山梨大学倫理委員会承認済み)。

小児胸部CTA「低被ばく」かつ「低用量の造影剤」で撮影された小児CTAの3次元再構成像。従来のCTAと同等の画質が得られています。