子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓療法

UAE – 子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓療法

子宮筋腫は、30歳以上の女性の20%以上にあると言われている良性腫瘍です。良性腫瘍なので、すぐに治療が必要なわけではありませんが、月経時の大量出血や貧血、痛み、腫瘤による圧迫症状などがある場合に治療が行われます。治療は、ホルモン療法と外科的手術が一般的におこなわれていますが、新しい治療法として最近期待されているのがUAEと呼ばれる子宮動脈塞栓療法です。
UAE(子宮動脈塞栓療法)は、血管に細い管(カテーテル)を挿入して、子宮筋腫に栄養分を送る動脈(子宮動脈)を閉塞します。子宮筋腫に対する兵糧攻めです。これにより子宮筋腫が衰え、症状が改善します。欧米を中心に普及し、すでに数万例以上のUAEが行われています。日本でも1997年頃から導入され、普及し始めています。
これまでの報告によると、UAEにより過多月経や月経時痛の90%が改善しており、貧血も数カ月で改善しています。この改善は主に筋腫の体積の減少によるもので、筋腫は半年-1年で半分から1/5程度に縮小します。UAE後、新たな筋腫の発生や再増大の報告はほとんどありません。出産に関しては、UAE後に無事出産された方も多数いますが、まだ、不明な点が多く、出産を希望する方に関しては、適応が限られます。
山梨大学医学部放射線科でも2002年からUAEを開始しています。日本では2014年1月に子宮筋腫への使用が添付文書に明記された新しい塞栓物質であるエンボスフィア(日本化薬)が保険収載され、2014年4月の診療報酬改定でUAEが保険適応の治療法として認可されました。実際の治療状況、治療内容などUAEのことが詳しく知りたい方は、山梨大学医学部放射線科(内線2382)
荒木拓次(taraki@yamanashi.ac.jp)までご連絡ください。とりあえず説明を聞いてみたいという方も気軽に尋ねて下さい。詳しく説明いたします。

症例

塞栓前骨盤動脈造影

塞栓前骨盤動脈造影

骨盤造影では発達した子宮動脈(矢印)が認められた。

左右子宮動脈造影

左右子宮動脈造影
左右子宮動脈造影では、筋腫の強い染まりが認められた。

塞栓後骨盤動脈造影

塞栓後骨盤動脈造影
塞栓後骨盤動脈造影では、子宮動脈が消失した。

UAE前後のMRI

UAE前後のMRI
術後10ヶ月で、筋腫の体積は約30%(縮小率70%)になった。